八王子居酒屋ひとり酒
新潟地酒が揃い踏み
JR中央線八王子駅北口から歩くこと4~5分、みさき通り沿いにある居酒屋(越後八州)は、酒や品書きに越後地方の郷土色を出す居酒屋だ。
品書きには「栃尾の油揚」「新潟三平汁」「のっぺ煮」などが並ぶ。
まずは酒。
「越乃景虎」「〆張鶴」「雪中梅」「久保田」「八海山」などの中から「吉乃川」にした。
「酒造りは一に水」と謳う蔵元の仕込み水は、創業以来、蔵の敷地内の井戸から湧き出る「天下甘露泉」と名づけられた軟水。
種々のミネラルをバランスよく含む、この水に合わせた酒造りの技が代々受け継がれ、きめ細やかなのど越しのよい、綺麗な酒を醸している。
爽やかな香りとツルツルとした透明感のある口当たり。
吉乃川の相棒が谷中生姜だ。
根から葉にかけた桃色、白、浅緑が美しい。
味噌をちょいとつけて口に。
ガリッとした噛み心地、ツンとくる若々しく爽やかな刺激がよいアクセントになる。
ボリュームが欲しければ、鮭わっぱ飯もある。
雰囲気は、昔ながらの居酒屋だ。
知らない町へ出かけ、そこの飲屋街をぶらぶらするのが無上の楽しみである。
よさそうな居酒屋かバーをみつけ入ってみようという心算。
玄関先の雰囲気と看板が有力な手がかりだ。
居酒屋なら間口いっぱいの大暖簾は安心。
茶色ミニ暖簾に細い文字だと高級になる。
酒造会社提供看板の店は手軽だが、その酒を飲まねばならない。
デザインもさりながら、ヒントになるのは店名だ。
看板は業者まかせでも店名は自分でつける。
ズバリ本人の姓がいい。
「町野」「下岡」「池波」「金子」。
こんな店名が古めかしい行灯に筆字でスッと書かれていれば吸い寄せられてしまう。
ここ(越後八州)は昔ながらの居酒屋。
このような往年の大衆居酒屋は建替えや町並の変化とともにどんどん消えていっている。
ここを取り仕切っているのは親子か。
品書は酒場の定番や親しめるものばかりで、凝った肴はない。
無言で入ってきた男は銀杏を肴に、ビールをチェイサーにして冷酒をぐいぐいやるというしびれるような注文だ。
15分でさっと帰っていくのがカッコいい。
杖をついたひとり客に、おかみさんがたちまち「いらっしゃい」と手を取る光景がうるわしい。
近所の人は誰でも知っている地元居酒屋だ。
↑谷中生姜を肴に飲むのもいいものですぞ
↑ご飯に焼いた鮭をほぐしてのせて蒸しただけの家庭的な味
↑居酒屋の定番・刺身盛り合わせ。南蛮エビやシメサバが登場した
↑開店30年ほどの昔ながらの居酒屋
店名 | 越後八州 |
住所 | 東京都八王子市三崎町6-10 |
営業時間 | 18:00~翌0:00 |
定休日 | 日曜・祝日 |
連絡先 | 042-621-0155 |
関連リンク | なし |
◆この記事を書いたひと
酒場ライター:居酒屋伝道師・池波和彦
東京生まれ東京育ち。酒場巡りを趣味とし、北は北海道の離島から南は沖縄の離島まで新規7000軒以上の店を巡りブログ「日本の酒場をゆく」を執筆。毎夜全国の居酒屋やバーにて神出鬼没の酒戦の日々を過ごす痛飲派。
ブログ「日本の酒場をゆく」↓
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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