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Mom.Bが紹介する八王子の素敵人

山本ミニ子 フォトグラファー

家族写真の出張撮影「にちにち寫眞(にちにちしゃしん)」

20年後30年後のメッセージ力

Mom.B浅川 

インタビューにあたり写真について、特に家族写真について、ミニ子さんのホームページの言葉をみて私自身すごく考えました。「日常を記録することにこそ価値があり、どんな日も写真日和である」この言葉がグサッと刺さりました。

幼い時のアルバムを引っ張りだしてみたら、着飾った集合写真より、本当に日常を切り取ったような一枚のほうが、過去にタイムスリップしたような感覚になり、カメラが父の温かい視線のようにも感じ、なんとも言えない温かく懐かしい気持ちになりました。ミニ子さんが言っているのはこういうことなのかなと思ったのですが

 

山本さん
着飾って非日常の中で撮る写真を否定はしません。それはそれで撮ること自体が楽しいと思うし、キッズモデルのような我が子の姿や広告に出てくる家族のようなキラキラした集合写真を見て嬉しくなる気持ちもすごくよくわかります。
実際、私の撮影でも同行する一定時間のうちのどこかのタイミングで、何枚かはそういうしっかり整った写真、演出してキラキラした写真もお撮りしています。
ただ、そちらがメインになる必要はないと考えています。
特別な日も、何でもない日も、そこに「いつも」の姿が写っていることが大切だと思うんです。
私自身子育てをする中での実感として、何気ない、わざわざ立ち止まって記録をしないような瞬間こそが貴重だったと思うことが本当に多くて。
今日当たり前に見ている光景は、写真に残さなければ記憶からも消えてしまうかもしれません。
例えばその頃住んでいた家、毎日通った道、よく着ていた服、遊んでいたおもちゃ、お気に入りだったポーズ、癖だった変顔。
そういう写真って、20年後30年後に見た時に蘇ってくる思い出の量が段違いだと思いませんか?
その時、その場所で、その年齢のその人でなければ撮れなかった写真というのは、何年も経ってから見返した時に必ず撮った時以上の価値を持つと信じています。
とはいえ、いくらドキュメンタリーといってもプロとして撮っている以上は写真として美しくなければいけないとは思っていて、そこは本当に腕が試されるところですね。
記録性と美しさの両立、ずっと追求していきたいテーマです。


Mom.B浅川
目から鱗です!写真は奥が深いのですね。このインタビューをさせていただくまで、失礼ながら撮る側の想いを今まで気にしたことがなくて。これからは撮ってもらう人をきちんと知ってからにしたいなと思うようになりました

 

 

「日常を記録することにこそ価値があり、どんな日も写真日和である」

子供が深く眠るまでそばに

 Mom.B浅川
母になったことでフォトグラファーとしての価値観にも影響があったということがわかりましたが、お子さんとの生活、ワークライフバランスについてもお聞きしたいと思います。

 

山本さん
私はどちらかというと仕事大好き人間なんですが、子供もすごく可愛いし、夫はここ数年すごく忙しいしで、家庭とのバランスは常に悩んでいます。
やりたいことがありすぎて、つい働きすぎてしまいますね。
私の場合、子供が生まれたのとフリーランスになったタイミングがほぼ同時でした。
4ヶ月で保育園に入れることができ、初めての子育てと初めてのフリーランス生活、どちらもゆっくりと進めることができたので滑り出しは好調だったんですが、割と早い段階で軌道に乗ってくるとつい仕事を受けすぎてしまったりしてキャパオーバーを起こすことも度々ありましたね。
ご家族揃っての撮影は土日のご希望が多いので、土曜保育休日保育はほぼ毎週利用しています。繁忙期は週7日朝から晩まで預けることも多く子供たちには負担をかけていると思いますね。
平日の休みを少しでも多く取れるように、仕事の効率化も考えていかないといけないと思っています。


Mom.B浅川
1日のタイムスケジュールを教えていただけますか?

 

山本さん
その日のお仕事により全く不規則なのですが、おおよそこんな感じでしょうか。

0時 子供たちの寝かしつけからの仮眠を一旦切り上げ、写真編集、事務作業などデスクワーク、家事
3時 就寝
6時 起床 家事、身支度、子供達と過ごす
7時半 子供達を保育園へ送り出す
9時まで 家事の残りと仕事の準備
日中 撮影のある日は現場へ。ない日は自宅で編集作業、事務作業の他、勉強会や交流会、打合せへ出かけることも。
18時 買い出しなどを済ませ、子供達をお迎え
19時 帰宅、夕食、子供達と過ごす
21時 寝かしつけをしながら一緒に仮眠


Mom.B浅川
0時から始まるタイムスケジュール、斬新です!(笑)

 

山本さん
夫の帰りが深夜なので私一人で子供二人を寝かしつけるのですが、今難しい時期で、お互いママを取り合ってケンカして、なかなか平和に寝てくれなくて。1歳半の下の子が自我が芽生えてきてわがままを通そうとするのに対抗して、もう直ぐ5歳の上の子も遅れてきた赤ちゃん返りでやたらと甘えん坊になっています。
眠りにつくときと目覚めた時に隣にママがいないことに気づかれるとそれはそれは大変な騒ぎになるのですが、夜中も起きて仕事や家事をしないと終わらないんですよね。
子供が深く眠るまではそばにいて、夜中に仕事をし、明け方子供達が目をさます前に隣に戻る生活です。
上の子は時々「保育園お休みしたい」というのですが、自宅作業のみの日は「ママの仕事部屋に入ってこない」という約束で上の子だけ休ませたりもしています。
それでもしょっちゅう仕事部屋の入り口までブロックで作ったものを見せに来たり、恐竜クイズを出しに来たり、アニメのお話の展開を報告に来たりして。構って欲しいんですよね。
大変ではありますが、そんな日常もまた愛おしく、部屋を覗きに来る息子の姿を写真に撮ったりしてます。
滅多にないことですが、連れて行ける現場には連れて行ったりすることもあります。
でも子供たちと過ごす時間はもっともっと作らなくてないけないなぁと感じています。


Mom.B浅川
母の愛ですね、泣きそう。
他に子育てと家庭を両立する上で悩んでいることはありますか?
同じような悩みを抱えている方へのアドバイスとして、山本さんが心がけていることがあれば教えてください。

 

山本さん
とにかく時間がない、に尽きます。
繁忙期は家が荒れ放題です。家事は完璧を求めないこと、優先順位をしっかりつけることが肝要ですね。そろそろ外注することも考えています。
家族全員のスケジュール管理も大変です。子供達が別々の保育園に通っていた9ヶ月間は頭がごちゃごちゃでした。
一人の時間をしっかり作って心と頭の整理をすることは私にとっては絶対に必要なことだと思っています。
あと、困った時の頼り先をたくさん確保しておくことは大切ですね。
我が家は両方の実家が飛行機の距離なので気軽に助けを求められず、子供が病気をした時は本当に大変です。
病児保育や夫の半休、ファミリーサポート、病児ベビーシッター、ママ友ネットワーク等、もしもの時のプランは5段階用意しています。
一番大切なのは、自分も全然できていないんですが、色々至らないところがあっても自分や家族を責める気持ちをぐっと抑えて、ありがとうや労いの気持ちを忘れないことですね。


Mom.B浅川
すごく安心しました。

うちも仕事が忙しい時期は家事も育児も主人に任せてしまうこともあり、完璧にされている人を見ると心苦しい自分がいたので

そうですね、周囲の人へのありがとうと労いの気持ち、私も大事にしていきます。

生まれてから今まで、どんなに忙しくても毎月欠かさずお子さんのポートレートを同じ背景で撮っているという山本さん。息子さんの月齢写真は既に70ヶ月分にもなる。1年ごとに並べてみると成長を実感できるという。

やりたいことを仕事にしている人へ

Mom.B浅川

本当にありがちな質問で恐縮ですが

やりたいことを仕事にしている人、仕事にしていきたいと考えている方にメッセージをお願いします。

 

山本さん
やりたいことができると、まずはその技術を磨くことに目が向くと思うんですよ。でも、ある程度になるとそれはさほど重要ではなくて、むしろ思いや動機を忘れないで進めていくことが大事だと思います。「思い」が伝われば仲間や助けてくれる人が自然と集まってきますよね。

私は「にちにち寫眞」を立ち上げるまでは、昔の職場のコネクションや知人の紹介などの仕事がほとんどだったので、営業活動もほとんどしたことがなく、面識のない方に自分の思いを知っていただく機会も力も持ち合わせていませんでした。
興味を持っていただくのに必要な材料を何も用意していなくても仕事が回ってしまっていたんです。
プロとして技術があるのは当たり前です。その先に、選んでもらえるには?と考えた時、
これではいけないな、今は代わりがいくらでもいる、他の人と自分の違いをもっと知ってもらわなくては、と思いました。

「にちにち寫眞」のサイトを作るにあたっては、「思い」の部分にかなり力を込めて作ることを意識したんです。そうしたら、まずは同業者のお友達が劇的に増えました。
サイトのトップのスライドショーを見て涙が出ました、6人家族の日常写真のブログを読んで感激で震えています、
ぜひ一度会ってお話ししたいです、など面識のない方から突然熱いメッセージをいただくことも多くなりました。
そういう人たちと、同じ思いを持つグループだからこそできる活動をしていくことにも新しい可能性を感じています。
お客様も、お申し込みの時点でサイトの感想を送ってくださったりしています。
他分野の方からのコラボのお誘いも突然いただくようになりました。
自分の「思い」や「色」を伝えられるようになったからだと思っています。
今後も仕事への思いや自分のプライベートなことも含めて、私という「人」ごと知ってもらえるようなことを発信していきたいです。


Mom.B浅川
すごくわかります!どんな仕事も結局のところ人ですよね。その人がどれだけの熱量でどんな想いで取り組んでいるか、そこをみんな感じて選んでいくんだと思います。

山本さんの写真のもつ不思議な力、素人の私にはピンとこなかったのですが、山本さんのお話を伺うとその素晴らしさを実感できました。

山本さん、写真が本当に好きなんですね。そして写真への想いとこだわり本当にすごいです。終始お話を聞いて感動しました。ありがとうございました。

 

山本さん

ありがとうございました。

にちにち寫眞の思いを込めたというホームページトップのスライドショー。『写真と文をじっくり味わってほしい』と話す。ブログには撮影日記のほか、山本さんの子育てに関するコラムも写真付きで綴られていて、読み応え十分だ。

インタビューを終え

お名前どおりすごく小柄で華奢な女性だった。でも芯は強く、特に写真の話を始めるとすごく力強く大きく感じる。プロとしての自信とそれを裏づけてきたキャリアが彼女をそう見せているのだろう。

その一方で母としての彼女はまだまだ未完成で戸惑いながら、大事な家族を守るために一生懸命もがいている。

このアンバランスさこそ、山本ミニ子の魅力ではないだろうか。

彼女の写真は、ありのままで飾り気がない。でもそれこそが美しい価値がある。インタビューの中で20年後30年後に価値がある、メッセージ力のある写真という話があった。写真は今を切り取り未来に残すもの。そう考えると、そこをブレずに価値ある写真を撮り続ける彼女は本当のプロフェッショナルだと感じた。

 

Mom.B  浅川絵美

 

 

 

インタビュー Mom.B加藤 浅川

編集 Mom.B浅川

プロフィール

にちにち寫眞(にちにちしゃしん)

山本ミニ子(フォトグラファー)

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