よっ!仕事人
八王子で整理加工を行っている有限会社大恵さんでものづくりの現場を見学させていただきました。
2013/06/25
織物産地の町、八王子で整理加工を営む有限会社 大恵
今回、私たちは八王子で60年以上、織物などの整理加工を行っている有限会社 大恵さんに訪問しました!
取材を受けてくださったのは専務の小宮浩さん。この会社でどのような仕事を行っているのかを取材させていただきました。
会社の正面。老舗独特の雰囲気が長い歴史を物語っています。
会社の紹介
大恵さんは約60年間この八王子の地で整理加工業を営んできました。小宮さんの祖父が個人事業として始めたのがきっかけだそうです。
現在で3代目に当たる小宮浩さんですが、子どもの頃からこの仕事にお手伝いなどをして携わってきたようです。現場では基本的に7人態勢で、整理加工に精通した方々が働いています!
どんな仕事?
整理加工とは
大恵さんで行っている整理加工という工程は、他の業者から届いた布地の幅を整えたり、ふんわりした布地にしたり、起毛させたりというような、最終的に行われる様々な加工のことです。
整理加工には段階的な工程があります。よりぶさ→縮絨(しゅくじゅう)→乾燥→テンター→起毛(きもう)→テンター→プレスといったような工程のことです。
大恵さんでは、この全行程を行うこともありますし、発注内容によって異なる段階まで行うこともあります。
また、大恵さんにはひとつの企業からではなく、多企業から注文がきます。一日で仕事をこなして、一日で送り出すスタイルですので、受け付け確認後すぐに整理加工作業にまわし、できる限り短期間での対応に努めています。1.2週間かかることはまずないそうです。
このように拝聴すると、やはり残業が夜中まで続く日もあるのではないか と思い聞いてみると、「夜中に作業をすると機械の騒音が近隣住民の方々に迷惑ですので行いません。」と小宮さん。
限られた時間の中で、確かなものをつくる。並みの職人さんで出来る事ではありません。
整理加工の機械はこんなに大きい!
縮絨機
水量、時間、温度、回転数を管理し、ひとつひとつの商品を全て違うプログラムによって仕上げます。
この縮絨機に生地を入れて洗うことにより糸と糸が絡み合い、風合いがよくなります。一度に入れようと思えば中に約60kg入るようですが、一気に入れてしまうとムラが出てしまうので、多くても10kgしか入れないそうです。これはまんべんなく生地が洗われ、均等にするためです。
10キロで縮絨したときと20キロでやったのでは生地に差がでてしまうので、100kgの生地を縮絨する場合、10kgずつにわけて10回やります。それほど縮絨は繊細な作業なのだと実感しました。
また、縮絨することによってこれ以上生地が縮まないようにして、お客様が安心して商品を使用できるようにする、という面もあります。
すごいぞ、縮絨!!
乾燥機
真夏になると、室内温度が約40度に上がることも!?
縮絨機で洗われた生地を、このたくさんついているローラーで乾燥させていきます。ローラーは暖かく、かなりの熱気が伝わってきました。つながっている長い生地のみ使用できます。
タンブラー乾燥機
取材当日は山ずみはなく、平和に起動していました。
ニットのようなつながってない生地はタンブラー乾燥機を使って乾かします。
日によっては、ニット素材の注文が多すぎて山ずみになることもあるそうです。
テンター用の機械
違う幅の布地を扱うために4台あるそうです。
下から出る蒸気で生地を伸ばして、しわをとります。
4台のうち一番小さい機械は、もともと着物の帯を整理加工するためのものだったとか。
ものすごい量の蒸気が出ていました。
機械の管理について
こんなに機械が所狭しと並べられているのだから、管理費用もかなりかかるはず。そう思い小宮さんに聞いたところ、「うちの機械はほとんどがアナログで、だいぶ古くからある機械ばかりですので、管理費はあまりかかっていませんよ。」とおっしゃっていました。
原型は変わらず、ギアをペダル式にしたり改良して、現在に至るようです。
なんでも、デジタル化しているのは縮絨機のみだとか。「縮絨機は水量、温度、回転数を制御するためにデジタル化しています。しかし、生 地は動物からとった毛なので、生き物と同じです。いつの季節、どこの地方でとれた毛なのかによって差が出てきます。ですから途中で機械を止めたりして人間の手で見ないと、絶対注文通りにはいきません。
特にウールは一回失敗してしまうとカチカチになってしまうので、神経を集中して作業をしないと取り返しのつかないことになってしまいます。」と小宮さんは説明してくれました。
整理加工によってできる生地
整理加工によって仕上がる生地はたくさんあります。今回は、その中のほんの一部を紹介します。
ふんわりやわらか♫
何度も研究、失敗して、この生地に至ったそうです。
縮絨前(左)と縮絨後(右)。縮絨をした後はまとまった感じになっていることが分かります。
触ってみると、縮絨前と比べてかなりふんわりしていました。
溶ける糸!?
この生地、糸っぽさが全くありません!
実は、生地の中にソルブロンというお湯に溶ける糸を編み込まれているのです。かなり難しい作業のようです。
雨の日の作業で濡れた手で触ってしまうと溶けてしまうので注意が必要。ともおっしゃっていました。
整理加工をすることの大切さ
今まで整理加工の作業内容を見てきました。次に私たちは、整理加工の凄さや魅力について聞いてみました。
時代の変化→流行の変化
大恵さんでは、主にマフラーを中心に織物を作成しています。
マフラーも、時代の移り変わりによって流行が変わったそうです。「昔は毛が立ってるボリュームのあるマフラーが人気で、起毛の発注が多かったのですが、最近ではうすくて、かるくて、あったかいものが人気になってしまい、今は縮絨で生地を変化させることが多いです。」と小宮さんはおっしゃっていました。
整理加工の魅力
そんな時代の変化の中でも60年間愛されてきた整理加工の魅力、強みとは一体何なのでしょうか。小宮さんに聞いてみたところ、
「整理加工したあとに生地を断裁したり、縫製しても型崩れしません。とても次の作業がしやすいです。また、Tシャツなどは整理加工、詳しくは縮絨をすることによって、そのままタグ付けしてすぐ商品としてだせます。
また、この整理加工をする段階で、何百枚、何千枚の中からどうしても出てきてしまう不良品をチェックできます。つまりお店の方へ流れるまえに検品ができるというわけです。」とおっしゃっていました。
整理加工は、いわば最後の仕上げ、つまりこの作業によりその生地の良し悪しが決まってしまうほど大切で重要な作業であると改めて実感しました。
八王子の整理加工だからこそできる作業!
大恵さんで扱っている機械は、ロットが小さい分、生地に対して細かい加工ができます。この作業はもっとロットの大きな機械を扱っている関西の大手企業には難しい作業だそうです。
八王子の織物産業だからこそできる強みを垣間見た瞬間でした。
地域のつながり
八王子ファッション協議会
八王子産地の活性化を目的として活動している八王子ファッション協議会というものがあります。
この団体は、それまで別々だった様々な織物の分野が情報を共有することによって八王子の織物業界を中心にネットワークを拡大しています。
このつながりによって、一つの商品を八王子の各織物企業が協力して完成させるという地域のつながりができています。取材中も、八王子の織物企業の中山メリヤスさんが布地を持ってきていて、これから仕上げるとおっしゃっていました。
若手の人材育成
八王子ファッション協議会の一環として、地域の学生たちに研修として仕事体験の場を提供しています。
八王子唯一の織物整理加工業者として
マフラーを主につくっているので、秋冬に向けて今が一番忙しい時期だそうです。そんな中、小宮さんは快く私たちの取材を引き受けてくれました。
実は、八王子でこの整理加工業を営んでいるのは今現在、この大恵さんだけなのです。
最後に、小宮さんにとって「この仕事とは何か?」と伺いました。
「昔は30軒以上この八王子の地には整理加工業者があったらしいのですが、今では私たちだけとなってしまいました。
もし私たちが整理加工業をやめてしまえば、八王子含め、地方から注文をして下さるお客様たちの中に困ってしまう方がいるかもしれません。
ですから、私たちは
八王子の誇りを消さないためにこの仕事を続けます。
とおっしゃって下さいました。
小宮さんをはじめ、大恵の職人の皆様、今回は本当にありがとうございました!
専務:小宮 浩
住所:東京都八王子市元本郷町2-3-1
TEL:042-626-5894
アクセス:八王子駅北口徒歩12分
編集後記
初めはどうなるかと思いましたが、他のメンバーのおかげで内容のいい記事になったし、会社の人もいい人だったのでよかったと思います。
また次ある時はもっといい出来にしたいと思います。(日影)
今回取材をさせていただき、自分の仕事に誇りをもつことの素晴らしさを実感しました。
また受け継いできた伝統をただ続けるのではなく、その年代のニーズに合わせて作業を行っていたり、八王子ファッション協議会のように地域と連携して八王子全体の織物業を盛り上げていたり、大量生産の現代を生き残るための工夫がたくさんなされていることを知りました。
また印象に残った話は、布は一つ一つ違うのだから、機械のようにすべて同じ工程を行うのではなく、一つ一つに合わせた工程を調整しながら行うというお話でした。小規模の工場ならではの工程であるうえに、一つのものを仕上げることへのこだわりが感じられました。
取材を受けて私も自分の仕事に誇りをもって取り組めるような仕事につきたいと思いました。
いい勉強になりました。ありがとうございました。(義崎)
はじめて行った、地域の方への取材。緊張を隠せませんでした。
しかし、いざ始まってみると暖かく迎えてくれた大恵さんのおかげもあって、なんとかスムーズに話を進めることが出来ました。
取材をしているなかで、時たま出てくる八王子の話。八王子に対する情熱が伝わってきました。その情熱に感化されてか、取材を終えたあとはこの八王子の地が前より身近に感じました。(染谷)
学生プロフィール
染谷 凌大
生年月日 1993年7月9日 千葉県市川市出身
こんにちは!高校まで部活漬けで、大学でやっと夢のキャンパスライフが!!
…と思いきや、通学時間2時間半(片道)という最高に眠いキャンパスライフが始まりました。
しかし、今年からは一人暮らしを始め、通学10分という最高の条件に挽回したので、あと3年大学生らしく楽しみます!!
日影 健太
生年月日 1993年9月5日 岩手県滝沢村出身
岩手県の田舎からやってきました。
まだまだ慣れないことばかりですが、よろしくお願いします。
りほ
生年月日 1993年6月10日 千葉県富津市出身
千葉県の富津という港町で生まれ育ちました。
ゆったりとした町で育ったせいか、性格までマイペースになってしまいました。
好きなことは食べること。全国の特産を食べ歩くことをひそかに夢見ています。
最近はダイエットがてらウォーキングにハマっています。一緒にウォーキングしてくれる人募集中です(笑)。
笑顔がチャームポイントです(自称)。
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