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よっ!仕事人

八王子の伝統工芸 多摩織

伝統工芸士 吉水壮吉さんにお話をお伺いしました!

2010/02/02

八王子地区には昔から織物がありました。江戸時代から歴史が残る八王子織物は現在ではネクタイやニット、マフラーなどに姿を変え、今でもその歴史を残し続けています。伝統工芸品とは百年の歴史を持たなければ認定されません。多摩織は昔から織られていた多摩結城という織物を基本として申請し、昭和55年に伝統工芸品多摩織として国の認定を受けています。その歴史を現代に受け継ぐ「仕事人」にお話しをお伺いしました。

手仕事の達人

八王子で伝統工芸を伝え続ける吉水さんにお話をお伺いしました。

吉水さんの現在のご活動を教えてください。
まいぷれ:吉水さんの現在の活動を教えてください。
 
吉水さん:現在は、販路というものは特にないんですよ。ですから自宅にある工房でちょこちょことネクタイなどを織っています。伝統工芸士として催事にあわせて作品を作ったり、イベント事やフェアなんかがあればそこへ出品したりしています。
それから、年に数回小学校に手織りの体験教室や八王子織物の歴史を教えに行ったりという活動もしています。
 
まいぷれ:八王子市内では何校くらいの学校に教えに行っているんですか?
 
吉水さん今は7校ほど。でもね、これがあっちもこっちもと言うわけにはなかなか行かなくてね…、一度教えに行った学校からは「来年も是非来てください!」なんて結構評判なんですよ~(笑)
かつてはきものだった伝統の織物は時代のニーズに合わせ進化してきました。
かつてはきものだった伝統の織物は時代のニーズに合わせ進化してきました。
裏地は東京染小紋。細部にまでこだわりが感じられます。
裏地は東京染小紋。細部にまでこだわりが感じられます。
戦後の復旧と発展の時代を駆け抜ける
まいぷれ:吉水さんはそもそも家業で織物をされていたのですか?
 
吉水さん:いえいえ、もともとは八王子市内の建設屋の息子だったんですよ。
 
まいぷれ:へぇ~!そうなんですね。てっきり、家業を継がれているものだと思っていました…。では、その辺りの歴史について少しお話して頂けませんか?
 
吉水さん:いいですよ。時代は太平洋戦争が終戦して、八王子が空襲を受けた焼け野原の町だった頃の話になるかな。八王子は復旧の真っただ中でみんなが立て直しに必死だったんだ。そんな時代にちょうど織物の会社に就職したのが始まりだったんです。その会社ではウールきものの量産なんかを手掛けていましたよ。大同毛織と共同でブランドを作り、地域で一番の生産量を誇った時期もあったくらいですからね!良い時代でした(笑)
 
まいぷれ:なるほど~。でもなぜ家業を継がずに織物を始めたんです?
 
吉水さん:実家の仕事を継ぎたくなかったんです(苦笑)
 
まいぷれ:ははは(苦笑)
 
吉水さん:鳶職のような職人仕事ではなく、ものを作って売るという、いわゆる「だんな仕事」がやりたかったんですよ!あこがれみたいなものだね~。今はめっきり職人仕事みたいなことをやっているけどね。

昔は今とは違って、1回仕事につけば一生その仕事を貫いていくという時代だった。今はみんな好きな事をいろいろとやっているでしょ。当時はそういう時代だったんですよ。私は昭和23年に就職したのですが、その時に地場の産業である織物をやろうと思ったんです。
 
まいぷれ:では織物は全く初めてだったわけですね?
 
吉水さん:そうです、学生時代も全然関係のない分野の勉強をしていましたしね。
多摩織の魅力
まいぷれ:吉水さんにとって八王子織物(多摩織)の一番の魅力ってなんですか?
 
吉水さん:伝統を受け継いでやっているところでしょうね!
それとやっぱり、手でひとつひとつ作っていくというぬくもりみたいなものですかね。
 
まいぷれ:ひとつひとつ作るからそれぞれ風合いが出るわけですね。
 
吉水さん:そうですね、材料(糸)の違いによって織りやすさも全然違いますし仕上がりも変わってきます。
 
まいぷれ:多摩織を作るときの工夫や悩みってありますか?
 
吉水さん:今言ったような材料の違いもそうですが、「意匠」ですかね。
 
まいぷれ:「意匠」ってなんですか?

吉水さん:「意匠」っていうのは、つまり織物の設計のことですよ。糸(材料)や模様(デザイン)を考えるっていうことです。これが思った通りの仕上がりにならなかったりして…、とても試行錯誤するんですよ。
でもね、それがまた逆に手織りの楽しみであり、喜びであるんだな(笑)
 
まいぷれ:手織りを続けることへのこだわりみたいなものってやはりその辺にあるのでしょうか?
 
吉水さん:そうですね~。それと歴史のあるものを作るということです。
伝統を後世へと伝える想いに溢れる仕事人
まいぷれ:伝統工芸士としての役目とは何であるとお考えですか?
 
吉水さん:この多摩織の魅力や技術を後継者に伝えていくという思いが一番ですね。小学校なんかで今いろいろと教えているでしょう、こういった手織り体験なんかをやってみた子供たちが少しでも興味を持ってくれたらと思いますね。
 
まいぷれ:日常生活では、なかなか経験できませんからね~。こういった文化に少しでも触れるというだけで違いますよね。子供たちにとっては良い機会になると思います。
 
吉水さん:将来やってみたいという若者が現れるのが楽しみですよ!
八王子織物工業組合でも「後継者の育成」ということに、今年から積極的に注力して活動を行なっていますよ。

まいぷれ:夢のある若者が登場するといいですね!
経済産業大臣指定 伝統工芸品 多摩織
 伝統工芸士 吉水 壮吉
 
八王子織物工業組合 幹事
八王子織物和装部会相談役
日本伝統工芸士会  幹事
多摩織伝統工芸士会 会長
 
八王子織物工業組合(多摩織)

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