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よっ!仕事人

株式会社ロスフィー

自然から学ぶものづくりとは?

2015/08/05

【まいぷれ×法政大学】コラボ企画
◇◇法政大学多摩キャンパスの学生が、地域で活躍する“仕事人”に突撃インタビュー!◇◇
今回私たちは、日本国内外で注目されている製品を開発し、八王子市で活動している株式会社ロスフィーの保 清人さんにインタビューをしました。

どんな仕事をしているのですか?

ざっくり分けると3つになります。

建築

言葉そのまま、家など建物を建てる!

ランドスケープ

庭、道路、公園、川などなど建物の周りをつくること。
空の上からまちを眺め、都市計画を行い、
まちを歩きながら、人がつながるコミュニティデザインも行う。

・都市計画
極端にいうと、戦争で壊れた地域にまちをつくるなど、何もないところに線を引きまちをつくること。


・コミュニティデザイン
人のつながりをつくるデザイン。さまざまな人たちと協力してまちづくりを行っていくこと。


八王子市では後者のコミュニティデザインを主に行っていますね!

環境デザイン

環境製品(プロダクト)をつくること。

・環境製品
現在世界最先端のひよけ製品。国内外の賞を受賞しているロスフィー社の“フラクタル日よけ”など。
都市のヒートアイランド抑制、屋外環境の改善、省エネなどに貢献することが期待されている。

なぜこの仕事をしようと思ったのですか?

元々は建築をしていた保さん。2000年のミレニアムイヤーで京都議定書などの環境問題などに触れ、”建築は環境を壊す”のかもしれない、自分には何ができるのか?と一念発起し休学してランドスケープの道へ。留学した海外で感じたことは、歩いているまちで目に入るのは“7:3”で“建物以外:建物”。
かっこいい建築が必要なのではなく、景観を構成する7割の建物以外がよければよい町に見えるということ。日本での学生時代はランドスケープの分野の存在が薄く、まちを良くするにはランドスケープが大事。もし、自分がまちづくりの景観デザインをやれたらすごい!という気持ちがあったそうです。
帰国し、自分が住むまちの人と関わりをもってまちづくりをしたいと決めたそうです。
自然を壊す建築に対するアンチテーゼから始まったんです、と保さんは笑っていらっしゃいました。

どんなことをしているのですか?

フラクタル日よけ

ロスフィーさんといえばこちら!!
ロスフィーさんといえばこちら!!
8年前、北欧留学から帰国後、ヒートアイランド対策のための研究をする京都大学の教授と出会いました。100年前の数学者が考えたフラクタル図形を作れれば自然の木漏れ日を再現しながら、都市を冷やせるというのです。屋外環境づくり、自然に学ぶものづくりに興味があった私は、布地でそのフラクタル構造をつくり、製品開発を行うことを決めました。2009年には、グッドデザイン賞の中でも栄誉あるベスト15の金賞に選ばれ、経済産業大臣賞も頂きました。プリウスやインサイト、ダイソンの掃除機などと肩を並べるなど想像もしていませんでしたが、今日まで多様な国内外の技術者たちとものづくりも行っています。
立体三次元の木陰を作り出す日よけは販売開始後、羽田空港や動物園で動物を冷やしたりなど様々な場所に設置されました。平面のテントは夏場60℃以上にもなり、その輻射熱で熱中症になることもあります。フラクタルひよけは立体通風で布自体が温度が上がらず放射熱がない木陰が実現できます。木々の下で気持ちよいのは、その自然の原理がそうさせているのです。ものづくりが自然に近づくことで、人工物であふれる都市も心地よくなっていくはずです。この都市砂漠で大木は植えられないのですから。
そして、このフラクタル日よけ、紫外線を95%カットする上に真っ暗にならない、そして落ち葉の掃除もいらない、布だから冬は畳んでおけます。実は公園には全然日よけがない、大きな木はメンテナンスの手間やお金がかかってしまうのでみんな木を植えたがらないという現実があります。しかし人工であるこの日よけだからこそできる様々なことがあるのです。実際に、紫色の日よけは藤棚みたいであったり、生地をイベントに合わせてカラフルにすることで、素敵な空間づくりが可能です。

“ひと”がどう使うかを知ること

不思議に赤道直下には途上国が多い様ですよね。熱いと仕事をしたくなくなるのはないでしょうか?
つまり温暖化は人を心理的ストレスに追い込むわけです。先進国でも都市化が進むとヒートアイランドになり、バナナが育つような熱帯にもなり、経済活動が低迷してしまうかもしれません。(30度を超すとかき氷が売れることもあるでしょうが。。。)屋外を涼しくすることで経済活動は悪くはならないと考えています。都市の温度を下げ、人の活動を向上させるのがフラクタルひよけの役目だと考えています。
また、まちという屋外環境を良くしようとするとまちが儲かるともいえます。建物の中をいくらハイスペックにしたところで、まちは歩いて楽しくなければ人は遠のいてしまうでしょう。
ベンチや木陰、大道芸があった方が人はまちを散策し、そこに居座ります。居座るとコミュニケーションが生まれるでしょう。まちの使われ方を考えるソフト事業からつくり、その後建物などのハードが必要であれば作るのがよいでしょう。ハードを作る人はソフトは知らない、だからソフトを作る人たちがものづくりの人と協働することが必要。と保さんは言いいます。

ツーリズムもできちゃう

実は観光もやっているんです。奄美大島にある別荘のヴィラ・ファニーは環境を考え建てられています。ウミガメが来るようなビーチが目の前にあり、カメも来てほしいしお客さんもカメを見せてあげたい。宿泊者は夜は極力あかりを消してもらっています。宿泊者だけでなく、海を見ながらドライブや散歩している人に海の景色が邪魔にならないよう建物自体を埋めています。建物を埋めることで海にずっと近くなり騒音もなくなる、海人(うみんちゅ)になれるんです。宿泊者は東京などの都市部の人たちが多いそうです、リピーターも多いとか。
ランドスケープをすることがツーリズムにも繋がるとは驚きです。

今後作っていく製品

フラクタルひよけのキャッチフレーズである“光を風に”は酷暑を涼しさにするということです。今後は風で揺れるだけで発電するものや、布が光合成し酸素をつくるような、“光を空気に”する技術開発を行っていく予定です。

自然に学んでいるからこそ自然の大切さもわかる、国内外の研究者や技術者と協力しながら自然に学ぶものづくりをしていきたい。皆でつくったもので、また皆の生活を良くしたいという気持ちでものづくりを行い、まちづくりにも貢献していきたい、と保さんは今後について語ってくれました。

現在リノベーションしている家は何に使われるのですか?

保さんが様々な事業を行っている中の一つにポケットパークプロジェクトというNPO法人があります。ポケットパークプロジェクトの理念は子供とその親の居場所づくりです。
最初は駐車場を借りてイベントを行っていましたが、駐車場での活動が困難になり公園での事業展開を行うようになりました。公園はどうやって借りるの?と思われがちですが、実際は公園課や指定管理者に相談し非営利活動であれば数千円程で借りられるそうです。
そして事業が大きくなっていってきた今、新たな試みとして民間の駐車場でも公共の公園でもない、空き家になっていた民家を経営しようとするまちづくり会社と協働し、新しい居場所づくりを行っていこうとしています。半公共、半民間の居場所づくりの成功例は少ないですが、挑戦してきたいと考えています。
駅から10分程度の場所にあるビルの間の道の奥には…
駅から10分程度の場所にあるビルの間の道の奥には…
ひっそりたたずむ民家。7年間空き家だったとは思えません。古き良き時代を感じます。
ひっそりたたずむ民家。7年間空き家だったとは思えません。古き良き時代を感じます。
人に使われない建物はネズミとかシロアリとかで朽ちてしまう、しかし人が入ると息を吹き返すものです。やはりモノは使われてなんぼなんですね。
被災地の空き家はもっと大変、人が家にいない、まちに人がいないってことが、どれだけ良くないかということです。と保さんは言います。
そして7年間空き家だったこの民家はカフェと皆が来れるスペースを併せ持ったものにしたいとおっしゃっていました。もともと住んでいた物理学者の女性の残した蔵書もあり、コミュニティカフェライブラリーができるとおもしろそう。日本庭園で人が集える場所ではなかった庭も、自然を回復させる広場にしました。ツリーハウスを作れると、子供も喜ぶ。などと将来像を膨らませていました。
また、夏には子供たちが水遊びができる様なイベントも行うなど精力的に活動されていく様です。
子供たちのために敷き詰められた木材のチップ。とてもふかふかでした。<br>廃材のため低コストで入手ができたそうです。
子供たちのために敷き詰められた木材のチップ。とてもふかふかでした。
廃材のため低コストで入手ができたそうです。
ここにツリーハウスができる予定だそうです。
ここにツリーハウスができる予定だそうです。

目標はありますか?

保さん(中央)とピース!
保さん(中央)とピース!
夢はワールドピース!まちが涼しくないと貧困になり、資源争いで戦争がおこる。社会問題や都市問題に挑むものづくりやまちづくりを日本から発信したいと考えています。そのためには、今自分が住んでるところが良くできないと世界平和はないと思うんです。Think Globally Act Locally、「地球規模で考え、足元から行動せよ」日本を出てこの言葉に共感しました。

日本のまちづくりやものづくりは今まで野球式でした。ピッチャーである村長や社長が指揮をとっていました。これからはサッカー式へ変わっていかなければならない。世の中多様で複雑だと理解できればチームのメンバー誰もが状況をその都度判断し、行動しないとモノにならない。逆にいうと、だれもが関われるコトづくりが増えています。と保さんの熱い意気込みを教えていただきました。

会社情報

株式会社ロスフィー(東京事務所)
所在地 東京都八王子市八木町5-2
TEL&FAX TEL:080-3435-6316/FAX:042-649-6889
ホームページ http://www.losfee.jp/

取材を終えて…

あーぴん

インタビュー場所は現在リノベーションを行っている最中の民家でしたが、隠れ家的な都会のオアシスのような雰囲気もあり、途中でハトや猫が現れたりと、とっても素敵な雰囲気でした。またインタビューに不慣れな私たちを保さんは優しく迎えてくれ、これからのまちづくりについて様々な考えを聞かせていただき、とても良い経験になりました。

歌 重洋

僕はこのように現場にいって取材をするということが初めてでとても不安でしたが保さんの気さくな人柄とわかりやすい説明のおかげで内容を理解すると同時に楽しめたのでとてもよかったです。

土橋 優樹

とてもためになるおもしろい話を聞くことができてほんとうによかったです。自分の考えを持っている方で違う見方で新たな世界感を感じました。フラクタル日よけに関しては「自然に近い日よけ」をモットーにその構造はとても画期的なものでした。モノはできたらおわりじゃないという言葉が印象的でした。また八王子のイベントなどで関わっていけたらいいなと思いました。

私たちが取材させて頂きました!

あーぴん
生年月日 1995年7月10日 神奈川県相模原市出身

中学・高校を近所の女子高で過ごした箱入り娘。なので、さまざまな人との交流を持ちたい!口下手だけど…。
しかし、もっぱらのインドア派。
唯一の外へ出る趣味は、愛用のカメラで写真を撮ること。基本、いつでも眠い。
歌 重洋
生年月日 1996年1月17日 神奈川県横浜市出身

ほとんどの時期を横浜で過ごしている都会っ子。
EXILE、三代目をこよなく愛し、ひそかに四代目JSBのボーカルを目指し、日々歌の練習に励んでいる。好きなことは、三代目JSBのLiveDVDを見ることと、カラオケ。
カラオケは、時間があるときには常に行っているくらい大好き。
ただいま彼女募集中…。
土橋 優樹
生年月日 1995年4月20日 茨城県守谷市出身

茨城県の田舎の中の都会で育ちました。
よく外で遊んでいました。
サッカーをやっています。
八王子はよく行きます!大好きです!

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