子安神社とは主に安産、子育てを司る神道の神、木花開那姫神が祀られた八王子最古の神社です。八王子に現存している神社の中でも、最も歴史が古くその始まりは淳仁天皇の統治時代、暦の上では７５９年まで遡り、現代まで代々引き継がれてきた古い歴史の上に成り立っています。
しかし、長く続く歴史の裏にはいろいろな出来事がありました。これまでなんどか火事や第二次世界大戦の八王子空襲により焼失にまきこまれましたが、そのたびに再建を繰り返し、現在までにその伝統を継承してきました。
このように古い歴史から成り立つ事実に驚かされました。

地下からは水が自然的に湧き出で、それに関連し安産祈願や子育てを司る神様が祀られていることから、毎年多くの特に地域の妊婦さんをはじめとする女性や夫婦の参拝客がこの子安神社に安産祈願や子どもの安全を願い訪れます。
中にはなんと産婦人科の医師やはるばる海外からインターネットで情報を得てやってくる外国人の参拝客もいるとのこと。また意外にも、女性本人より親御さんがこっそり祈願に来ることのほうが多いそうです。
これを聞いて、親御さんの優しさを感じほっこりしました。

芸能や祭事も例祭をはじめとして盛んに年に幾度も行われています。その数は例祭や他の信仰のお祭りも含め合計なんと７０回にも及ぶそうです。

芸能の面でも「子安の舞」という神社の御鎮座１２５０年を記念として創生された伝統を具象化した舞や、京都の俳人であり近現代に活躍した山口誓子の句にあやかった２つの舞、古代より続く雅楽の演奏などといった芸能が行われています。現在も盛んに執り行われていますが、これら雅楽や御神楽をはじめとする芸能は子安神社自ら出費を取り持ちいろいろな人の力を借りて行事を行っています。
取材でこのことを耳にしたとき、伝統の力というものは計り知れないほど絶大で人を圧倒し存在するんだなと驚愕しました。

泣く子は育つという言い伝えから乳幼児の健康と成長を願う意味で「泣き相撲」というお祭りも行われています。今年行われた際にはなんと８９２人の赤ちゃんが参加したというほどで、中には笑っている赤ちゃんもいるとか（笑）。

子安神社の宮司を務めている松宮さんは「子安神社には長い歴史があるためさらに後世にもその文化を継承していかなければならない、という義務感がある」と熱く語ってくださいました。前述したとおり子安神社は二度も消失の被害に遭い、そのたび復活してきたという歴史があります。宮司の松宮さんは「いかに昔のものを守っていくか」ということが大切だとおっしゃていました。
私たちも松宮さんのお話を聞いて昔のものを現代のものに維持することの大変さを知りました。
また、最も嬉しいと感じることは子どもを授かったという参拝者の方の報告を聞いたときだそうです。そのような報告と笑顔を見ると、神社や伝統を続けていかなければならないと思うと話してくださいました。

個人的には神社の仕事って何をするのだろうという疑問と興味があり、今回取材を通して仕事について、古くから続く伝統を存続させる意義などの滅多に聞くことのできない話が聞けたことを非常に嬉しいことと思いました。特に古くから続く文化の存続、維持についての貴重な話が印象深く、こういった、人の意思が存在するからこそ今現在の日本の文化が衰退せずに残存しているんだな、と同時に次世代にそれらを存続させるには何が必要だろうかと考えさせられました。貴重な体験とお話しありがとうございました。

松宮さんのお話を聞いて神社を維持することは私たちの生活の変化にも関係していることがわかり人間によって自然が変わってきていることもあるので、維持の大変さをしみじみと感じました。

神社にインタビューするというめったにない経験をすることが出来てよかったと思います。２回目の取材ということで前回よりもスムーズに進めることが出来ました。