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よっ!仕事人

大竹絹織

大竹絹織6代目、大竹秀治さんにお話を伺いました。

2010/08/09

◇◇法政大学多摩キャンパスの学生が、八王子で活躍する“仕事人”に突撃インタビュー!◇◇

-大竹絹織-

大竹絹織6代目、大竹秀治さんにお話を伺いました。

今回、お話を伺った大竹さんです。
とても明るく元気な方で、インタビューにも丁寧に答えてくださいました。八王子市内の小学校の
教科書にも載っている有名人です!

八王子と織物

Q.創業のきっかけって何ですか?

 

A.160年前栃木の足利でね、足利尊氏に絹製品を納めていたんだよ。八王子に移ってからは着物の工場だったんだけど消費者のニーズの変化に合わせてインテリア雑貨に切り替えていったんだよね。

昔の八王子駅に立っていた糸巻きのオブジェ
昔の八王子駅に立っていた糸巻きのオブジェ
Q.どうして八王子で織物をやっているんですか?
 
A.火山灰が養蚕に適した土なんだよ。
 火山灰が混ざった土だと野菜は育たないでしょう?でも桑、蚕のえさになる桑はどこでも育つから八王子は桑を育てて、蚕も飼っていたんだよ。
 昔の八王子の人々は野菜が育たないから、織物を売って生計を立てていたんだ。因みに八王子の火山灰は富士山の噴火によるものだったんだよ。昔噴火した富士山の火山灰が、今の八王子市周辺まで飛んできた。だから八王子は昔から織物に適した地域だったんだよ。

大竹さんと絹織

Q.一日のスケジュールを教えてください。
 
A.午前は工場で企画会議をして、午後は人と会って、戻ったら工場の生産ラインの状況を確認しているね。
Q.大竹さんがこの仕事に就いたきっかけを教えてください。
 
A.まず実家が絹織物産業をやっていたことが前提にあったね。初めは関西で別の繊維関係の仕事をしていたんだけどやっぱり3年位勤めると役職に就かなきゃいけなくなってくるんだよ。そんな時に実家から呼び戻されるという形でこの工場に戻ってきたんだったな。その背景にはやっぱり自分が小さいころにはたくさんあった八王子の絹織物工場がどんどん少なくなってきている寂しさがあったし、織物の町八王子を守らなければとも思ったね。

Q.この工場に戻ってきたのはいつごろでしたか?
 
A.うーん。22~3年前になるかな。社長に就任したのは去年だね。工場は出来る限り続けていきたいなぁ。この業界は糸屋さんや繊維工場と連携して成り立っているから自分の工場はもちろん、連携している工場の状況も大事になってくるね。
Q.大竹絹織さんの主な活動を教えてください。

A.昔は主に着物を生産していたんだけど、時代の移り変わりによる消費者のニーズに合わせて現在は、カーテンやマフラー、ストールの生産が主流かな。
 それと今は自社製品の開発にも力を入れているんだよ。メーカーの下請けで決められたものを作り続けていた時に比べると社員みんなで話し合う機会が増えたね

Q.工場内の雰囲気も変わりましたか?
 
A.変わったね。
 社員みんなが同じ目標を持つこと、自分の意見が取り入れられ自社製品の発売につながることへのモチベーションなどが社員みんなの活気を生み、これまでも仲の良かった社員が、今では家族のような仲だね。とにかく今は仕事が楽しいよ。
 それと、八王子の市長さんが公務の際に持っていくお土産の織物も制作しているんだよ。そこには八王子市のマークや伝統工芸などが織りこまれていて、もちろん織物の絵も織りこまれているよ。
Q.小学生の見学も積極的に取り入れているみたいですが?
 
A.毎年八王子市内から15校くらい来るね。
そこで子供達に織物の魅力を伝えたいし、織物の町、八王子を若い世代の人々にも知ってほしいな。

大竹絹織でしか買えないもの

Q.この仕事をしていく上で大変なことは何ですか?
 
A.大変なことというか、大変だったことになっちゃうんだけども、戦後に織物業界や大手の服飾産業が中国とか東南アジアなんかにどんどん進出していったんだよ。そこで安価な製品が台頭し始めた。消費者も安価な海外生産の商品に流れてしまったんだよね。

Q.安価な製品の質はやはり落ちるのでしょうか?
 
A.織物に携わっている自分の目で見てみるとやっぱりそういう安価な製品の質は良いとは言えないんだよね。そういった質の良い製品の減少と安価な製品の台頭は織物業界にとっては大変だったね。
 でも逆に安価な製品の台頭によって商品の価格で価値がわかるような時代になって、低クオリティーな製品を利用した人々が質の高い製品を求めるということが増えてきているのも事実なんだけどね。
Q.仕事のやりがいや今後の展望を教えてください。
 
A.今まではメーカーの下請けの仕事だけをしていたけどメーカーに縛られている感じだったんだよね。社長になる前から自社製品をつくりたいって思っていたんだ。社長になってからMADE  IN 大竹に挑戦し始めたよ。
 だから今は社員全員で製品の開発をしているし自分の意見が製品に反映したりするから社員が活発になったよ。そういうことで仕事が楽しいと思っているよ。
 今後の展望か…自社製品のものをもっと作っていきたいな。
 コンセプトは「今、昔」着物を織っていたころの原点に戻って大竹絹織でしか買えないものをつくっていきたいな。和柄のカーテンとクッションなんておもしろくない?そういうものとかあとは今書道家さんの文字を織りこんだネクタイとマフラーを作っているんだ。人とのコラボレーション製品もおもしろいでしょ。

チャレンジ

これはほぐし織りと呼ばれる職人による丹念な手仕事で織られたもので、その温かみや奥行きが特徴的です。
これはほぐし織りと呼ばれる職人による丹念な手仕事で織られたもので、その温かみや奥行きが特徴的です。
Q.大竹さんにとって絹織とは?
 
A.「生きがいでありチャレンジ」だね。
 織物が無かったら今の自分は絶対にない。織物は奥が深いし、こういう時代だからこそ新しいものにどんどんチャレンジしていきたいよね。

工場を紹介!

機織機と聞いて浮かぶのは昔ながらのがっちゃんがっちゃんというものですよね。
でも現在は機械を使っての作業です。コンピュータで経糸の動きを管理し、布地に模様をつけます。
この経糸の動きと、緯糸を通すタイミングは絶妙です。
機械から高くまで上に伸びているワイヤーには、一本一本の中央に穴があいていて、そこに糸を通します。
これがコンピュータの管理によって上下に動く事によって、繊細な柄を出すことが出来ます。
経糸を巻き取ります
経糸を巻き取ります
コンピュータで経糸の動きを管理
コンピュータで経糸の動きを管理

自然光を取り入れた工場<br>
自然光を取り入れた工場
絹の色を確かめる時に一番良い光は自然光です。
三角屋根にする事によって自然の光を工場内に取り入れています。
直射日光だと商品である絹が傷んだり、色あせてしまうため、窓の面は北側になるように作られています。

この絵の中の人の動きは八王子の伝統的な踊りを表わしています。
後ろには八王子市のマークが入っています。下に敷かれた織物には八王子市の木、いちょうが織り込まれ、織物の町八王子を押し出しています。

お店紹介!

下請けだけではなく、職人たちがこだわった、大竹絹織独自のデザインを考案。
工場近くのショップではその布地を使った品物を売り出しています。
クッション、カーテン、ストールなどの洋物と、力を入れている和柄との融合がポイントです。

大竹絹織株式会社



TEL 042-622-8111(代) FAX 042-624-3984
本社/東京都八王子市中野上町1丁目26 番3号
アンテナショップ/東京都八王子市中野上町1丁目33 番15 号


編集後記

 私の祖母の実家が養蚕場で織物には親しみがありました。
大竹さんの織物にかける思いや新しい挑戦に私たち学生もこれからいろんなことにチャレンジしなくては、と励ましてもらったような気がしました!これからも八王子のものづくりにもっと触れていきたいです。大竹さん、ありがとうございました。
 
門田 なみ子
 工場から、職人からデザインを発信することで、職人さんたちのモチベーションも上がり、みんなが楽しんで仕事をしているということでした。
私の中で印象的だったのは、「いいものは一つでいい」という言葉でした。大量生産で利益を最優先に考えたら、絶対に出てこない言葉だと思います。
短い時間でしたが、大竹さんの「熱さ・熱意」を感じることが出来ました。
 
青木 優
二人とも目をつぶっちゃいました(笑)
二人とも目をつぶっちゃいました(笑)
 大竹さんにこの仕事をしていく上で大変なことはなんですか?と伺った際に、個人的なことでなく、織物業界全体としての大変なことを述べられていたのがとても印象的で、大竹さんの織物に対する思いの強さを感じました。
また、今回まいぷれさんとコラボさせていただき、色々と大変ではありましたが、とても良い経験になりました。
ご協力していただいた皆様ありがとうございました。
 
甲斐 滉平

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