よっ!仕事人
創業125年のこだわり なかの屋
こんにゃく・寒天の専門店「なかの屋」4代目の石坂清さんにお話をお伺いしました!
八王子の老舗、「なかの屋」はなんと創業125年。旧甲州街道沿いに位置する家屋は当時の面影を感じさせるほどに異様な存在感を放つ。自家工場でこんにゃくを作り続け、その味と手作りの文化を現代に残している。 明治~大正~昭和~平成と激動の時代の変化のなかで、消費は増え、世の中の製品は量産化されるなか、手作りこんにゃくの製造をやめることなく、その魅力を産み出している。
『今までの信頼、続けるのは難しく、ありがたいこと』
手作りこんにゃくを作り続ける『なかの屋』の4代目、石坂清さんにそのこだわりをお伺いしました。
まいぷれ:八王子でこんにゃくの手作りをやっているところなんて知りませんでした…。八王子っていうとあまりこんにゃくのイメージはなかったんですが、もともと八王子でこんにゃくは有名でしたっけ? 石坂さん:いやいや、有名ってわけではないですね。 まいぷれ:八王子とこんにゃくというつながりは何かあるのですか?歴史的な経緯など何かあるんでしょうか? 石坂さん:水が豊富であったことです。 歴史的な経緯を話すと、こんにゃくは江戸時代に水戸藩がこんにゃく芋を粉状にすることで全国に広まりました。粉にして広まったことで、その土地土地で独自にこんにゃくが作られるようになったんです。春植えて、秋に掘り返し、収穫したものを翌年の春に植える。っていう作業を3年繰り返す。畑が空いている時に栽培する隙間農業ですよ。関東のこんにゃくは芋から作るため"黒い"こんにゃく。関西は粉から作るため"白い"こんにゃくなんです。
鉄製のかくはん練り機。俗にバタ練機とも呼ばれるそうです。
まいぷれ:八王子でこういった手作りこんにゃくを作っているところは他にもあるのでしょうか?
石坂さん:作っていると思いますが、手作りだと少量生産のため、広まらないんです。だから詳しいことまではわかりません。 まいぷれ:創業125年の歴史についてお話して頂けませんか? 石坂さん:明治14年、中野長吉が八幡町にてこんにゃく、もやし、ところてんの製造を始めました。2代目の時に現在の八木町に移店し、3代目石坂岩吉が、昭和22年に有限会社として設立、昭和46年4代目石坂清が家業を継ぎ現在に至っています。 創業当時は、手または足で練り、あくを合わせて型詰めし、加熱して製造していました。冬はこんにゃく芋をすりつぶして水に溶き、夏はこんにゃく製粉を水に溶くといった具合に時季により材料も違っていました。 手動練り機が考案されてからは多少量産化されてきましたが、昭和10年代、3代目の石坂岩吉が鉄製のかくはん練り機とあく合わせ機を考案したことでさらに動力化し、昭和30年代まで使用されていました。 まいぷれ:かくはん練り機というのはどういったものなんですか? 石坂さん:輪っかがぐるぐる回って、こんにゃくを練るものです。あんこを練る機械に似ているかな。 その後さらに自動練り機が考案され、様々な練り機が導入されていきました。
石坂さん:現在は園式練り機という機械と、かくはん練り機を使用しています。また製品によっては手作りしていますよ。 まいぷれ:量産へと展開しなかった理由ってなんでしょうか? 石坂さん:広げなくても生活が出来たし、忙しかったからなぁ。 それと、『なべっこ』という商品があるんですが、これをかくはん練り機で生産しているため量産ができないんですよ。量産ができない⇒質へのこだわり へと繋がっています。 まいぷれ:では逆に手作りで作り続ける理由ってなんでしょうか? 石坂さん:バリエーションと美味しいものを作るこだわりですね。こんにゃくっていうのは、水や温度だけでなく練り方で大きく変わるからね。 私のおじいさんの代から伝わったものが残っていて、原点は手作りですから。機械では伝わらないんだ。 まいぷれ:手で作ることで製品のバリエーションも増えるんですね。こんにゃく作りの難しさって何でしょうか? 石坂さん:工程が同じでも人間の手と機械ではやはり差が出てしまうところですね。手で作ったものを機械が同じように作ってくれればいいのですがね。自分好みのものを作るには手作りの方が手っ取り早いですよ。
白滝も手で巻いています
ひとつひとつ丁寧に作るのが手作りの温かみ
まいぷれ:なかの屋が作る製品の特徴を一言で言うなればなんでしょうか? 石坂さん:色々な"好み"、"味"、"弾力性"、"硬さ"、"柔らかさ"。 こんにゃくと言ってもどれも全然違うよ。私は自分の好みで、自分が美味しいと思うように作っています。それに賛同してくれる人がいれば…と思っているんです。それがこだわりであるし、なかの屋の特徴。今は機械に頼りすぎているので、昔の(手作りの)良さがわらなくなっているんじゃないですかね。 まいぷれ:創業125年のこだわりを教えていただけますか? 石坂さん:初代の頃から3代目までこんにゃく一筋でやってきた、今までの信頼。今となっては一筋にやってきて良かったと思えますが、続けるのは難しいことです。それが出来ているのも、私からすれば先代達が頑なに一筋でやってきた恩恵を受けて育ってきているからなんですよね。これはありがたいことです。
手で練り上げたこんにゃくを型に流し込む。
左の灰色のものは胡麻入り。 緑色のものは海苔が入っている。
まいぷれ:これからのこんにゃくの進化って何か予想できそうですか?
石坂さん:まずこんにゃくがしっかりしていないといけないな。こんにゃくを変化させることよりも使い続けてくれることを守らなきゃ。10人にひとり、20人にひとりで良いので、こだわってくれる人を増やしたい。 進化は誰でも考えていること。スイーツ等の利用方法があるのでは?とかね。だから自分の代でできなかったことは後世に託したいです。 新しいものを作る時は発想の転換が必要だな。私は旅番組をよく見るのだけど、そこで紹介された様々なやり方がヒントになったりする様にね。和菓子屋さんなんかもヒントになるなぁ。試行錯誤を繰り返すしかないのかな? みなさんからの提案があればありがたいです。
【有限会社 中野屋商店 (なかの屋)】
4代目 石坂 清 創業125年のなかの屋で、頑なに伝統の味を守り、手作りこんにゃくを作り続けている。
これが手作りの味!!
なかの屋さんのイートインスペースでできたてのこんにゃくをご馳走させていただきました! 今まで私たちが食べていたこんにゃくは何!? っていうくらい、違うんです! 手作りこんにゃくの味・食感に驚きました。 舌触りが滑らかなものもあれば、ざらざらしているもの。 もちもちとした食感のものもあれば、ぷりぷりしているもの。 本当に練り方ひとつでこんなにも変わるんだと、そのレパートリーの多さに感動。 刺身こんにゃく、煮込み、甘味・・・それぞれが特色のあるこんにゃくは、その味にマッチしていて、どれも試行錯誤された努力の結晶であることを感じさせます。
「ここのを食べたら他では満足できなくなる」という、常連さんも少なくないという。
ちゃぶ台を囲む昔ながらの趣
【左】『もちもちこんにゃく』と『抹茶善哉』 【中央】『こんにゃくつぶ入りおしるこ』 【右】『とろみこんにゃく』
【左上・左下】『こんにゃくと牛筋煮込み』はなべっこを使用している 【右上】おしるこにはつぶ状のこんにゃくが入っています 【右下】とろみこんにゃくを辛子酢味噌で頂く
【なかの屋】 八王子市八木町3-18 TEL:042-625-0914 こんにゃく・寒天の専門店。自家工場で作った様々な種類のこんにゃくを販売している。店内には古き良き日本家屋の和室がイートインスペースとしてあり、ちゃぶ台を囲んで食べる風変わりなこんにゃく料理は格別。
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