八王子の「仕事人」図鑑 — 暖簾(のれん)の向こう側
(更新)
「食べることが大好き」。その純粋な想いから始まった、板場への道。

八王子の街に灯る、お店の数だけ「物語」があります。
普段私たちがカウンター越しに接しているあの人の、普段は見せないストイックな横顔や、今日に至るまでの葛藤。
新連載『八王子の仕事人図鑑』。第2回は、三崎町で静かに暖簾を掲げる和食の名店『割烹渡邊(わたなべ)』の店主、渡邊浩さんにお話を伺いました。
一皿に季節を閉じ込めるその指先は、一体どんな風景を見てきたのか。
まずは、渡邊さんの「原点」から紐解いていきましょう。

「小さい頃から食べるのも作るのも大好きで、小学生の頃から簡単なものを作っていました。きっかけは、そんな『おいしいものが大好き』という、とても安易な理由だったんです(笑)」
そんな渡邊さんの転機は高校生の頃。鰻屋さんでのアルバイトを経験したことで、プロの料理人を目指す決意を固めました。
「自分がおいしいと感じた料理を他の人にも伝えたい、共感していただきたい。その想いが強くなり、いつしか独立して自分の料理ができるお店を持ちたいと強く願うようになりました。日々努力を重ね、2003年、縁あって念願の自分の店を持つという夢を叶えることができたんです」


「和食はシンプルな料理が多いからこそ、素材の良さはもちろん、素材に対してしっかりとした『手当て』をすること。見えないところに手をかけること。これが私の掟です」
渡邊さんの料理の基本は「旬の食材を使い、季節を感じられること」「お客様においしいと喜んでいただけること」の2つ。日本にはその時々で最高においしい時期を迎える食材があり、その命に感謝を忘れず向き合うのが和食の基本であり、渡邊の和食だと言います。
「料理はもちろんですが、時間や空間も大切に考えています。お客様に楽しい時間を過ごしていただきたい。そして何より、自分自身も楽しく仕事をすること。それがお客様の幸せな瞬間のお手伝いにつながると信じています」




「趣味がないのが趣味、なんて言っています(笑)。
たまの休日には旅行やドライブに行きたいなと思うのですが、気がつくと食材探しや食べ歩き、酒屋さんに酒蔵、器の窯元巡りなど、結局仕事に繋がる外出になってしまうんです」
どこまでも料理中心の生活を送る渡邊さん。しかし、ご本人はいたって自然体です。
「料理以外の時間は、本当に適当に過ごしているんですよ(笑)」
その飾らない素顔と、仕事に対するストイックさのギャップに、職人としての深みを感じます。


「私にできるのは『食』に関することだけですが、積極的に情報発信をしていきたいですね。八王子のお客様はもちろんですが、『八王子に行けば美味しいものがある』と市外からも人が集まり、街が賑やかになればいいなと思っています」
地元・八王子や多摩地域の食材、そして器なども積極的に取り入れ、料理を通じて地域の魅力を伝えていきたいと語る渡邊さん。
「皆様に多摩地域や八王子に、さらに興味を持っていただければこれほど嬉しいことはありません。お客様の大切な人と『おいしい』という同じ価値観を共有できる、そのきっかけになれたら最高ですね」
「おいしいと思ったその時、一緒にいる人もそう感じたなら、その人は本当に大切な人だと思うんです」
インタビュー中、渡邊さんが語ったこの言葉が深く心に残りました。料理人として一皿に込めるのは、単なる味だけではありません。その瞬間、同じ空間で生まれる「幸せの共有」に、渡邊さんは真摯に向き合っています。
実は私、以前からお店の存在は知っていたのですが、凛とした佇まいに「少し敷居が高いかな……」と、勝手に緊張して足踏みしていた一人でした。さらに「割烹の職人さん」と聞くと、どこか堅物で気難しい方を想像していたのですが、実際にお会いした渡邊さんは驚くほどフランク!
取材中もこちらの緊張をほぐすように気さくにお話ししてくださり、その温かな人柄に一気に引き込まれてしまいました。見えないところに手間をかけ、素材への感謝を忘れない。その誠実で情熱的な仕事ぶりは、まさに八王子の街を支える「仕事人」そのもの。
渡邊さんが作り出す「雪・月・花」のコース。その一皿一皿に込められた想いと、店主の優しい素顔を知ると、いつもの食事がさらに豊かな時間へと変わるはずです。
渡邊さん、心温まるお話をありがとうございました!
さて、次なる八王子の仕事人は一体誰なのか? 職人の矜持が繋ぐ次回のバトンも、どうぞお楽しみ。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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「挫折も、握った包丁も、すべてが今の自分」—— 30年の歳月を経てなお、最高の一皿を追い続ける。

Vol.2:割烹 渡邊 渡邊 浩
「食べることが大好き」。その純粋な想いから始まった、板場への道。

Vol.1:ビストロ ヴァガボンド 皆川 裕輔
「なんとなく」から始まった、不器用で熱いフレンチの道。
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会社や学校帰りにも気軽に寄れる西八駅前の和菓子屋です。
八王子市高尾町1618
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素朴で昔懐かしい和菓子屋
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あずきを使ったスープに自家製麺の八王子らーめん!
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