八王子居酒屋ひとり酒
アラカルトで楽しめる板前割烹の実力店
JR中央線八王子駅から徒歩約9分、桑並木通り沿いの雑居ビル2階に割烹料理屋(旬彩たちばな)がある。
「いらっしゃい」
年季の入った白衣白帽正装の渋い主人は、板前料理人のイメージにぴったりだ。
突出は丸皿にトコブシ煮【腰のある歯応えに磯香がいい】、アスパラの牛肉巻【旨いこと限りなし】。
挨拶代わりの「お刺身盛合せ」はマグロ、マダイ、ホタテ、サクラエビが登場。
魯山人は料理と器は夫婦のようなものと言ったが、やんごとなき姫君が、身分低けれど素朴清潔な若者に恋して嫁いだような風情はまことに好ましく、これが主人の美学かと思わせる。
世にこの逆、冷凍の刺身をつまや花で飾りたて豪華皿に盛り込み、女性をわぁと言わせるような料理のいかに多いことか。
主人のしつらえは、店を広げたり高級にしたりする気持は全くなく、自分のできる範囲を努力し、それ以上の欲はかかないという姿勢の現れにも感じるのだ。
酒を燗酒にして、何かもうひとつと品書からみつけた「このわた」は、なま「この」はら「わた」。
ナマコ【海鼠】の腸の塩辛だ。
古書『和漢三才図会』や『本朝 食鑑』にも書かれる、古来から酒飲みを魅了してきた珍味で、その腸は糸のように長細く、独特のエグ味が泣かせどころとなる。
高価ゆえに居酒屋には出ず、私が初めて知ったのは富山だったか金沢だったか。
まさにこれさえあればなんにもいらないの代表だと思った。
この店は、本格割烹を好みであれこれ味わいたい向きには絶対の自信をもっておすすめできる。
ついに隠し玉を公表してしまった。
ーーそして先日、まいぷれ八王子の町野編集長とこの店で飲んだのでした。
普通割烹は、春は若竹椀、初夏は鮎、夏は鱧、秋は松茸、冬はフグと、料理も決まりきっていて、高級素材かもしれないが新鮮味はなく料理人もつまらないだろう。
気取った居酒屋は基本がコース料理とかで、食べたくない揚物やらも出て最後のアイスクリームは全く余計だ。
そうではない。
(旬彩たちばな)の最大の楽しみは、お仕着せではなく「自分でコースを組む」自主性にある。
この店は選べる割烹、これが魅力だ。
例えば……。
新じゅんさい酢・ポイント=酸味で食欲を刺激する。
刺身盛合せ・ポイント=赤白の彩り。
海老しんじょう揚・ポイント=頼んで後悔しない一品、料理としては腕が必要だ。
おしんこ盛り合せ・ポイント=箸休めはこれに限る。
このわた・ポイント=日本酒に合う最高の珍味。
〆 ちりめんおにぎり・ポイント=仕上げは上品に。
どうです、いいでしょう。
さらに別案【もういいー】。
↑刺し盛り1000円。安価で少量をいろいろと盛り付けるのが酒飲みには嬉しい
↑これさえあれば一升は飲める三大珍味「このわた」640円
↑突出しから主人の実力がわかる。これで450円は申し訳ない
↑美食家が通う八王子の割烹料理屋
店名 | 旬彩たちばな |
住所 | 東京都八王子市横山町3-9 |
営業時間 | 11:30~13:30・17:00~21:00 |
定休日 | 日曜・祝日 |
連絡先 | 042-646-3708 |
関連リンク | ホームページ |

◆この記事を書いたひと
酒場ライター:居酒屋伝道師・池波和彦
東京生まれ東京育ち。酒場巡りを趣味とし、北は北海道の離島から南は沖縄の離島まで新規7000軒以上の店を巡りブログ「日本の酒場をゆく」を執筆。毎夜全国の居酒屋やバーにて神出鬼没の酒戦の日々を過ごす痛飲派。
ブログ「日本の酒場をゆく」↓
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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