八王子居酒屋ひとり酒
八王子の美味なる夫婦の割烹
現在、料理はコースのみ。
JR中央線八王子駅から歩くこと約六分、きらく横丁にある割烹(せきど)の戸を開けると温厚な主人の笑顔があった。
「あっ、いらっしゃい」
カウンターに腰を下ろし、おしぼりで手を拭く。
ま、最初は刺身だな。
マダイ、イワシ、ブリ、アマエビ……お、キンメダイがある。
これですよこれ、【旬】来たる。
刺身の次は焼き物、焦げ風味だ。
焼穴子もあるが、発想を変えてといこう。
ここでは黙って名物の和牛朴葉焼き。
最後は穴子出汁茶漬けかシンプルにおにぎりだな。
おっと野菜とらなきゃ、んーと、サラダは大げさだし、アスパラ二色焼き。
こんなの料理でもなんでもないけど、あると便利、ほっとする。
酒は一白水成、而今、十四代、亀齢、篠峯など定評銘柄が揃う。
よし、決まったーー。
「すみませーん、キンメダイと燗酒ね」
どうです、いいでしょう。
この店は名店共通の魅力がある。
今や居酒屋や割烹は、料理・日本酒の勉強はもちろん、経営の勉強、時代感覚、さらに接客もと最も難しい飲食業になり、良店での修業が欠かせない。
そういう店は初めて入ってすぐわかる。
この店は主人の気迫と自信、何よりこれで一生やっていくという覚悟が見えるのが良い。
夜のはしご酒はバーで仕上げる。
大人の割烹(せきど)で飲み食いした後、おさまらない酒飲みは三崎町にある(洋酒考)へ。
酒場巡りの最後に、一人でカクテルを楽しむ。
カクテルのレベルは高く、銀座のバーに引けをとらない本格オーセンティックバーが八王子にあるのだ。
ここは西東京一のバーと断ずる。
名居酒屋、老舗居酒屋、名バー、寿司屋、〆のラーメンと粒ぞろいのいい店が揃う八王子。
いい町・おいしい町・八王子、酒飲みは八王子に集まれ!
↑キンメダイの湯霜造りは濃厚なうまみがたまらない
↑煮物は大作で手間がかかり、煮物を食べれば主人の実力は一目瞭然
↑タコの旨みをとじこめた一品、今宵も酒がすすむこと請け合いだ
↑渋い横丁で飲む酒はいい。きらく横丁に名店あり!
店名 | せきど |
住所 | 東京都八王子市三崎町9-5 |
営業時間 | 18:00~22:00 |
定休日 | 日曜・祝日 |
連絡先 | 042-686-3523 |
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◆この記事を書いたひと
酒場ライター:居酒屋伝道師・池波和彦
東京生まれ東京育ち。酒場巡りを趣味とし、北は北海道の離島から南は沖縄の離島まで新規7000軒以上の店を巡りブログ「日本の酒場をゆく」を執筆。毎夜全国の居酒屋やバーにて神出鬼没の酒戦の日々を過ごす痛飲派。
ブログ「日本の酒場をゆく」↓
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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