八王子居酒屋ひとり酒
寿司屋を居酒屋遣いするのもいいものだ
JR中央線八王子駅から歩くこと約10分、東京環状八日町南交差点角に(鮨忠 本店)がある。
一階のカウンターと二階は座敷。
カウンターのガラスケースに魚が詰まり、品書き札が続く。
さて本日は……、やっぱりこれかな。
「ちらし寿司と燗酒ください」
「はい!」
待ってましたの返事。
お通しのサンマ煮つけのなんといううまさ!
夢中で食べ終えて感嘆の声を上げると、大将がにっこり笑った。
自家製という塩辛も絶品だ。
「お待ち」
届いたちらし寿司に「おお」と声を上げた。
これだけでこの店のレベルが推し量れる。
醤油をタラーリと回しひと口。
「はふ、はふ、ふひ、ふまい、んまい、こりゃうまい!」
こういう粋な店に黙ってついてくる娘こそ、土屋太鳳のようないい女に違いない【太鳳さん来ませんか】。
魚がなければ寿司屋じゃない。
旨い魚で飲むなら寿司屋もいいものだ。
ネタは目の前のケースに詰まっている。
それを選んで刺身にしてもらえば極上の酒の肴になる。
刺身だったら貝を忘れるな。
寿司屋なら新鮮な貝もある。
注文した貝の三種盛は今開けた貝が皿に載り、貝肉が怪しく濡れて誘い込むようにさあどうぞと……【表現発禁!】。
貝は「貝級【階級】制度」がはっきりしている。
大きく立派な姿形、品よくきれいな味の鮑は、伊勢神宮に奉納する熨斗鮑が祝儀袋の印にもなったほどの雲上の宮人。
値段も最高級で庶民の口にはなかなか入らない。
少し小ぶりの常節は殿様か。
通は鮑より常節と言う人もいるが、やや負け惜しみ感もある。
その点、老獪な平貝は家老というべきで、軽いえぐ味は老人の懐深い実力だ。
大奥筆頭はお局の赤貝。
妖艶な色気で殿君を腰抜けにさせるが、じつは殿は腰元・蛤の成熟した色っぽい腰つきに目をつけている。
新入りお女中・青柳はなにかと頬を染めるのが初々しく、お手付きはいずれ。
道場には師範の荒法師・栄螺兵衛が若侍シッタカを鍛え、直情径行な武骨者は壷焼にするとグラグラと煮えたぎる。
地方に強い勘定奉行・北寄貝は廻船問屋・帆立貝と怪しく、黒頭巾の忍者・鳥貝を密偵に仕立て模索中だ。
以上、貝はうまい。

↑ちらし寿司は海鮮だけでなく、帆立や筍、豆などの煮物を添えるのが実力店の証

↑ツブガイ、ホッキガイ、アカガイの三種盛で飲めるのも寿司屋ならでは

↑自家製塩辛は酒の友。これさえあればいくらでも飲める

↑旨い魚で飲みたいとき、迷ったら寿司屋を居酒屋遣いするのも選択肢の一つ
店名 | 鮨忠 本店 |
住所 | 東京都八王子市南町5-11 |
営業時間 | 11:30~14:00・16:30~22:00【土・日・祝】11:30~22:00 |
定休日 | 水曜 |
連絡先 | 042-622-1060 |
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◆この記事を書いたひと
酒場ライター:居酒屋伝道師・池波和彦
東京生まれ東京育ち。酒場巡りを趣味とし、北は北海道の離島から南は沖縄の離島まで新規7000軒以上の店を巡りブログ「日本の酒場をゆく」を執筆。毎夜全国の居酒屋やバーにて神出鬼没の酒戦の日々を過ごす痛飲派。
ブログ「日本の酒場をゆく」↓
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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