八王子居酒屋ひとり酒
飲食店は古いが一番
八王子駅北口から徒歩約4分、西放射ユーロード沿いに老舗ラーメン屋(竹の家)がある。
創業は昭和29年。
古いということは客が途絶えず続いてきたわけで、それは良心的な店だからだろう。
フリの客より近所に住む人を大切にし、あこぎな商売はできない。
また肝心なのは、古い店には長年かけて主人と客が作りあげてきた独特の雰囲気があることだ。
すすけた店内は新築にないくつろぎをもたらす。
その濃密な〈時の堆積〉こそが店の宝であり、こればかりはいくら金をかけても、有名建築家でもつくるわけにはいかないのである。
品書はラーメンと、そのトッピングと大盛のみ。
餃子もチャーハンも、ライスもない。
単品勝負は自信の証拠。
期待できる!
看板に書かれた「オートボイル式」とは、機械で茹で上げられる麺。
ハイテクブーム時代の昭和レトロである。
届いた「ラーメン」にはチャーシュー1枚、メンマ、刻みネギ、海苔が入りうまそうな匂いが漂う。
パチンと箸を割り、まずスープをひと口。
アー……。
何杯もスープのレンゲを運び、なかなか麺に箸が伸びない。
うまい。
麺は中細の縮れ麺。
以下イッキ。
丼は空になった。
八王子駅北口から歩くこと約10分、国道16号八日町南交差点の近くに、昭和34年創業の老舗居酒屋(暫)がある。
時計の針を巻き戻したかのような昭和の香り漂う空間に、L字カウンターと入れ込み小上がり。
古いけどよく掃除が行き届き、手入れをして大切に使うおふくろの身ぎれいさだ。
それらの醸しだす往年の大衆居酒屋の居心地は郷愁に満ちる。
昔は良かった、人に温かみや節度があった。
そんな空気が確実にここにある。
カウンターの中には品のよい婦人が二人立つ。
肴は山かけ、あさりバター、冷奴、月見など。
名物はまぐろ刺身で、その一級のまぐろに、並の寿司屋は裸足で逃げ出す。
酒はここと決めた地元の客で連日賑わう。
過ぎ去った昭和の良さがますます人の心をつかんでいるのだろう。
↑シンプルな昔の味
↑建て替えて新築にした老舗は多いが、古い店構えのままの営業は八王子文化遺産である
↑昭和酒場の焼き魚
↑建て替えない店構えは八王子居酒屋文化遺産である

◆この記事を書いたひと
酒場ライター:居酒屋伝道師・池波和彦
東京生まれ東京育ち。酒場巡りを趣味とし、北は北海道の離島から南は沖縄の離島まで新規8000軒以上の店を巡りブログ「日本の酒場をゆく」を執筆。毎夜全国の居酒屋やバーにて神出鬼没の酒戦の日々を過ごす痛飲派。
ブログ「日本の酒場をゆく」↓
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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